2026-06-12

【住まい新築】折半で家を新築し、地方へ移住。大変だったのは住宅ローン

プロフィール

右/山賀沙耶さん(44歳、自営業(出版編集業)、愛知県出身、パフスクール共同代表)
左/Ayaさん(47歳、自営業(出版編集業)、神奈川県出身)

パートナーシップ 2015年〜(2026年現在、12年目)

住まい 山梨県甲州市

利用制度 パートナーシップ制度 あり(2021年世田谷区、2024年甲州市)公正証書 あり(任意後見・パートナーシップ契約) 緊急連絡先カード:あり(NPO法人 QWRC)

東京都世田谷区で中型犬2頭とともに賃貸住宅で暮らしていた二人。愛犬とのびのび過ごせる環境で暮らしたいと思ったことなどから、地方で家を建てることを考え始めました。家づくりをする中で感じたことを、特に同性同士ならではの体験を中心にまとめます。

目次

【きっかけ】「自然の近くでのびのび暮らしたい」という希望が一致

2016年から東京都内で一緒に暮らす中で、もう少し自然に近いところに住みたいという気持ちが徐々に芽生えてきました。2020年ごろから少しずつ物件を探し始め、2022年4月に山梨県甲州市に土地を購入。2023年10月に建築開始するとともに一時的に賃貸物件へ移住、2024年3月に新居が完成して、4月に無事引っ越しました。

①東京都内から地方への移住を考えた理由

  • 愛犬とのびのび暮らせる環境に住みたかった。
  • アウトドアが好きで、山や海に近いところに住みたかった。
  • コロナ禍以降、リモートでできることが増えた。

②家を新築しようと思った理由

  • 賃貸物件にただお金を払い続けるのは無駄に感じ始めた。
  • 中古住宅を購入しても、リフォームなどでいずれにしろお金がかかることがわかってきた。
  • 人の都合で建てられた中古住宅では、自分たちの条件に合う家がなかなか見つからなかった。

【方法】いちばん負担だったのは、同性同士の住宅ローン

①物件・土地探し

最初はアンテナを張って、よさげなエリアや不動産情報などいろいろ見ていました。実際に現地へ足を運んだりしながら、徐々にエリアを絞り込んで、最終的には現地に空き家を見に行ったときに紹介してもらった別の物件に、直感で決めました。

私たちはお金もすべて折半なので、考え方が違ったときに、2人の希望をすり合わせることが難しかったです。そんな中でも、時間をかけて探して、とことん話し合って、お互い譲った部分もあるけれど納得しているので後悔はないです。

②ハウスメーカー・工務店探し

本や雑誌を買い、ネットで情報収集。住宅展示場でモデルハウスを見たり、地元の工務店に足を運んだり、建築士の友人に建てた家を見せてもらったりして勉強しました。

最終的には、建築士の友人に相談にのってもらいながら、地元の工務店に建ててもらいました。自分たちで考えることや決めることが多くてすごく大変だったし、すべてを思い通りにはできなかったけれど、希望を反映した家づくりはできたと思います。

③住宅ローン

「同性同士で家を購入する」という意味でいちばん大変だったのは、住宅ローンです。

同性のパートナーと住宅ローンが組めるところを探して候補を絞り、早めに相談に行っていましたが、いずれにしろ自治体のパートナーシップ証明(あれば)と公正証書(パートナーシップ契約と、相互の任意後見契約)が必要ということがほとんど。特に公正証書は、行政書士さんに依頼して内容を考えて公証役場へ提出に行くなど、時間もお金もかかりました。

私たちの場合は、たまたま地元の銀行でローンを組めたので利用しましたが、その銀行自体、同性パートナーのローンを可能とする取り扱いはあったものの、実施に扱うのは初めてのようでした。住宅ローンの審査は、ただでさえ準備も大変で精神的にストレスがかかるのに、そこにさらに「同性同士である」ということでのしかかる負担は大きかったです。

④設計・建築・手続きなど

地方に土地を購入し、家を建て、引っ越しをする中で、たくさんの新しい人に会って、打ち合わせしたり、相談したり、手続きをしてもらったりする必要がありました。そんな中で、「失礼ですが、2人のご関係は?」と聞かれることが何度かありました。東京ではほとんどなかったことです。

興味本位で聞かれることもあれば、手続き上必要な場合もありましたが、聞かれて「パートナーです」と答えなければいけないことも、答えるたびにちょっと驚いたり戸惑ったりされることも、小さなストレスとして積み重なりました。特に別々で行動したときは、対等なパートナーとして同性2人で家を購入するのだと理解してもらうのが大変で、地方でいかに同性カップルの存在が想定されていないかを実感しました。

【感想】楽しくも大変な作業を経て「家族になった」と実感

家を建てるのは、楽しい反面、仕事をしながらということもあり、負担の大きい大変な作業でもありました。そんな中で、同性同士ならではのストレスが積み重なることは、今後社会の認識が変わったり、社会の制度が整ったりしていく中で、減っていってほしいと思います。さらに、家を建て終わっても、今度は遺言の公正証書を作る必要があり、まだ同性同士だからこそやらなければいけないことは終わっていません。

また、婚姻制度を利用できず法的に不安定な関係の中で、2人で家を建てると、大きな共有財産を持つことになります。この体験は、よくも悪くも、気持ち一つですぐに別れることのできる恋人同士とは別のステージへいくこと、2人で一緒に責任を背負う「家族」になることだったなと感じています。

text:Saya Yamaga / photo:Emi Yasuda / みらいふ編集部

山賀さん&Ayaさんの記事をもっと読む(時間差で公開予定)

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