2026-02-05

披露宴を開いて実感した、2人を支える輪の大切さ

プロフィール

右/きくみさん(55歳、レズビアン、NPO法人プライドハウス東京勤務、群馬県出身、日本虹色文化クラブ主宰)
左/ようこさん(56歳、レズビアン、会社員、大阪府出身)

パートナーシップ 2008年~(2025年現在、17年目)

住まい 埼玉県

利用制度 養子縁組 緊急連絡先カード:あり(NPO法人パープルハンズ発行)

目次

結婚披露宴をしたきっかけは

きくみ:両親と一緒に旅行した時に、私のクレジットカードを使ったら、「田畑さま、お会計はこちらになります」と言われて、それを聞いた父親が「田畑って誰だ?」と。私が「田畑というのは、ようこちゃんの姓で、私たちは養子縁組して、私はようこちゃんの子どもになったの。だから私は戸籍上は田畑なの」と父親に伝えたことがきっかけでした。

つきあってから、盆暮れにはようこちゃんと実家に帰っていたけれど、2年くらい経って「最近ずっとようこちゃんだね。良かったね」と母親に言われて、「うん、うん。そのうち養子縁組したいと思ってるんだ」と言ったら、父親に「それは感心しないな」と言われました。今考えると、親は養子縁組の意味「私たちは同性だから法律婚はできないから、結婚する代替案として養子縁組をするということ」がわかっていなかったのかもしれないです。

けれど、その時は法的に2人が、家族になることを認めないと父親が言ってるのかなと私は思い、「同居しているマンションの住宅ローンを私もようこちゃんと一緒に返済してる。でもようこちゃんに何かあったら、法的つながりがないから相続したようこちゃんの親にそのマンションから追い出されることになるかもしれない」という心配があった。でも、それを親に説明して許可を取る必要もないし、相談して反対されるなら、親には言わない方がいいと思ったから自分の人生は自分で決める。何かあった時に困るのは、私自身。両親が困るのではないと思っていたから。

ようこ:だから2013年に養子縁組したときにも親には伝えていなかった。

きくみ:その旅行の後に、しばらくして実家に帰ったら「お前たちは養子縁組をしたのか。それが結婚みたいなものなら、お披露目をきちんとしなさい」と父親に言われた。おそらく養子縁組のことを兄(長男)に聞いて、女同士では結婚できないから養子縁組したと、それは結婚と同じことだと両親は理解したみたい。

「じゃあ、今度のお正月にでもみんなに伝えるね」と言ったら、父親が「伝えるのではなくて、きちんと式場で披露宴をするということだよ」「えぇ?!、私にはそんなお金はないよ」と言ったら「呼ばれた人がお祝いを包んでくるから大丈夫。自分たちはもう80歳すぎているし、できるだけ早くしなさい」とも。

ようこ:それで2014年の6月に決めました。きくみちゃんのご両親の意向でね。びっくりだよね。

きくみ:披露宴を希望する親のメリットを考えたけれど、要するに「子どもたちが全員片づいた」と自分の兄弟、いとこ、親戚に伝えたかったみたい。それが田舎の親としての勝組、人生すごろくゲームの上がりみたいに考えていたと思います。披露宴に来られない高齢の親戚にも、寿の熨斗をつけたお菓子を送り、親は満足した感じでした。

ようこ:披露宴に来てくれたのは、きくみちゃん側は、両親ときょうだい全員と、親しくしている親戚一家。私の大阪の両親は「自分たちは歳だから新しい価値観もよくわからないし、ややこしいことには関わりたくない」と来ませんでしたが、2人の妹は、家族と一緒に遠くから来てくれました。

披露宴の準備はどうでしたか

きくみ:色々調べたら、都民共済の貸衣装が安いとわかり電話をしてみたんです。「女性2人です」と言って、もしかしたら断られるかと覚悟していたけど「はい。会員番号は?お日にちは?」とまったく驚かれることもなく、こちらが拍子抜けするくらいだった。

ようこ:実は、つきあって何年か経ち、ウエディングフォトを撮りたいと写真館に電話したら「女性同士はできません」と断られたことがあって。「え?客を拒否するというのですか。電話を店長に代わってください」と言うと、店長も「ウチはそういうのはしません」と言われたことがあったのて、共済に電話する時もどうかなと心配していたのです。

きくみ:会場のホテルでは、問い合わせから打ち合わせ、披露宴当日まで問題は感じませんでした。「本日はおめでとうございます」と何度も何度も言われるのね。ああ、こういう風にして結婚するカップルというのは社会に認められ祝福されることで、その関係性を支えられるんだと実感しました。

クローゼットで他の人と接点がなかったり、人目が気になり街中で腕を組めないと、2人の絆を支えるものがない気がする。カップルが長く続かない理由の一つに、2人の関係性が周りに支えられてないことがあるとすごく強く感じた。異性カップルは、婚約、結納、結婚式、披露宴、挨拶回りを通して祝福を受け、周囲とつながり、そのコミュニティの中で「共に生きていく」覚悟を固めていくのだと感じました。

披露宴をしてみて、気づいたことは

きくみ:同性カップルは周りから認められて、祝福される機会が圧倒的に少ない現実がありますよね。実家に1人で帰った時も「ようこちゃん、元気?」と自然に話題に出ます。もし、私たちがカムアウトしていなければ、そういう会話は生まれません。「ようこちゃんの親は元気?ようこちゃんの家族はどうしてる?」と聞かれる日常とそうでない日常では、2人を支える周囲とのつながりの深さも広がりも、まったく異なります。それがあるとないとでは全然違います。だから、私は、カムアウトはできる範囲で、できるだけした方がいいと伝えたい。なぜなら、あなた自身が楽になるから。支えられるから。誰に何を話し話してないか、どんなつくり話をしたか、気を使う必要がなくなるからです。自分を偽り、小さな嘘を積み重ねることは、精神的にも大きな負担であり、心身に影響を及ぼします。今の職場で私は、すべてオープンにしていられるので、以前のような心労もなく、晴れやかな気持ちで毎日を過ごせています。これは言葉では言い尽くせないほどの喜びです。

もちろん「この人なら大丈夫」と思って伝えたのに、相手が偏見を持っているかもしれない。でも今の時代、10人のうち10人全員が否定的な反応をするとは思えないです。だから、できるだけカムアウトできそうな人には伝えたほうがいい。

親とかきょうだいとか血縁関係は難しい場合が多いけれど、大人になれば、どういう人と親しくしていくかは自分で選べるから。自分を認め支えてくれる人とつながって、生きていくことを選ぶ、そうやって生きやすい人生を選んでいってほしいです。2025年を迎えた今、カムアウトして、ありのままの自分で生きるほうが、より健康で楽しく生きられるとわたしは信じています。

text&interview:Ayumi Kojima / photo:Emi Yasuda / みらいふ編集部
よかったらシェアしてくださいね~
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

ちょこっとみらいふシェア!

コメントする

CAPTCHA


目次