2026-04-17

法律婚できない日本で、「家族」として認められるために選んだ養子縁組

プロフィール

左/きくみさん(55歳、レズビアン、NPO法人プライドハウス東京勤務、群馬県出身、日本虹色文化クラブ主宰)
右/ようこさん(56歳、レズビアン、会社員、大阪府出身)

パートナーシップ 2008年~(2025年現在、17年目)

住まい 埼玉県児玉郡

利用制度 養子縁組 緊急連絡先カード:あり(NPO法人パープルハンズ発行)

目次

なぜ、養子縁組をしたのですか

ようこ:以前きくみちゃんが同居していた人が、親から電話があった時に誰も居ないふりをさせられるとか、存在を隠されたことがあって。だから、きくみちゃんはそんな扱いは絶対にイヤというのがあった。私に対しても「家族になりたいから、一緒に住んでいることを自分の親に伝えてほしい」と言っていたのね。

今の日本では同性カップルは法律婚できないから、第3者に対しても家族と言える形がほしい。そのために同性カップルができる唯一の方法である養子縁組をしたいと、きくみちゃんが希望していた。私はその時は会社にもまだカムアウトできてなかったので、ちょっと後ろ向きだったけれど。養子縁組の話が出たのは、つきあって2年目2010年くらいで、実際に養子縁組をしたのは2013年でした。養子縁組をした大きな理由は、公の場、病院などで法的なつながりを伝えられるから。

きくみ:アメリカのレズビアン映画「ウーマン・ラブ・ウーマン」(2000年公開、レズビアンのカップルがどう生きてきたかを3つの時代にわけてとりあげたオムニバス映画)を見た時に法的つながりがないと悲惨な結果になることを知り、養子縁組することにしました。

どんなプロセスでしたか

ようこ:まず、「養子縁組とは?」という本を幾つか読み、さらに弁護士に聞きに行った。養子縁組をすると、年上の私が母親で彼女が娘になる、つまり姓を変えることになるのは、きくみちゃんの方で、姓が変わって、大変なのはきくみちゃん。

私の方は社会生活上、何も影響はない。会社に対しても扶養家族として申告しない限りは、変更はない。つまり誰と一緒に住んでいようが表には出てこない。姓が一緒になることで、健康保険証など、法的な書類をつくれば同じ姓になるから便利なことがあるにしても、自分に影響は無いに等しい。きくみちゃんが変更する手間と姓を変更することで発生する今後の面倒なことを引き受けられるならと養子縁組をした。

市役所に行って、問題なく養子縁組ができたのは、行政の方は同性カップルが法律婚できないから、家族になりたい場合に養子縁組をする意味をよくわかっているんだよね。だから、その時は何も質問はされなかった。

きくみ:ただ「詐欺のために養子縁組で姓を変える人がいますので、一応上席に聞いてきます」と窓口の人が引っ込んで、上席の人と出てきました。そこで「同性カップルで養子縁組をしたいということで間違いないですね?」と聞かれたので「間違いないです」と答えると、その人たちに「おめでとうございます!」と言われました。とっても嬉しかったです。

今の日本では、同性カップルが法律婚できないので、他にも沢山の同性カップルが養子縁組をしているということです。2013年に養子縁組をしたのは、同性婚の訴訟もまだ始まっていなかったし、その時に家族になるために、出来ることをしたという感じでした。姓の問題は残っているけれど。

養子縁組をしてみて、どうですか

きくみ:今はLGBTQ+のためのNPO法人で働いているから旧姓を使えるけれど、企業で働いている時は法律名でないといけなかった。ここに引っ越してきて、ご近所の人に「田畑ようこです、田畑きくみです」というと「お二人は姉妹ですか」と言われて、「違います。同性カップルです」とか「パートナーです」と答えています。

町が主催する習い事の教室に申し込む時に、「田畑ようこと、もう一人田畑きくみです」にしたけれど、町が主催するゲートキーパー養成講座があったときに、プライドハウスの名刺「須田きくみ」をそこに来ていた保健師さんとか議員さんに渡しました。どちらの名前で伝えようか迷うことは多いです。

図書館のカードは免許証を見せて作るから田畑だし、どちらの名前にしたほうがいいのか考えるのが面倒。初対面の人をいきなり下の名前で呼ばないでしょう。姓を須田か田畑、どちらで伝えるかは結構大きな問題になっています。同性婚だけでなく選択的夫婦別姓を早く実現してほしいです。

ようこ:同性婚と選択的夫婦別姓の法律が出来れば、問題はなくなるということです。

きくみ:それが実現したら、養子縁組を解消し、婚姻届を出し別姓にします。

text&interview:Ayumi Kojima / photo:Emi Yasuda / みらいふ編集部
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