2025-04-13

恋人・パートナーとのヘルシーな関係性を考えるヒント―デートDVやDVのこと(弁護士コラム)

<要約>
デートDVとは、DV(ドメスティック・バイオレンス)の恋人同士版。身体的暴力だけでなく、精神的暴力や経済的暴力、性的暴力の形で現れることがあります。

お互いに尊重し合うコミュニケーションを身につけ、加害・被害が起こらないようにしたいです。DVかもしれないと思ったときには相談してください。

目次

1 デートDVを知っていますか

デートDVという言葉を聞いたことはありますか。

結婚しているカップルだけでなく、婚姻していないカップルの間にも暴力は起こっています。特に恋人間の暴力を指して、デートDVと呼んでいます。

DV・デートDVは、身体的暴力、精神的暴力、経済的暴力、性的暴力の4つの類型の暴力に分類され、整理されることがあります。

⑴ 身体的暴力
殴る、蹴る、包丁を突きつける、首を絞める、髪を引っ張るなど身体に対する直接的な暴力

⑵ 精神的暴力
大きな声で怒鳴る、暴言を言う、不機嫌な態度で相手を思い通りに操ろうとする、睡眠を十分に取らせない、外出させないなど、精神的に追い詰める行為

⑶ 経済的暴力
十分なお金を渡さない、働かせない、働けるのに働かない、借金を繰り返すなど相手を経済的に追い詰める行為。お金がないと、大幅に自由を制限されることになります。

⑷ 性的暴力
性行為の強要、ポルノを無理やり見せるなど

2 デートDV・DVに関する法律はどんなものがある?

(1) DV防止法1

結婚していなくても、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力には、DV防止法の適用があります

DV防止法上の「暴力」は、身体に対する暴力とこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動とされており(法1条1項)、上記の定義とはやや異なっています。被害者の保護のため、加害者の行動の自由等を制限する法律であることから、暴力の範囲を厳格に定めていると考えられます。

現行法上、婚姻ができない同性カップルも対象となるとされており、過去には女性同士のカップルがDV防止法上の保護命令2の対象となったこともあります。(参照記事

(2) 刑法やストーカー規制法

一度も同居して婚姻生活に類する共同生活を営んでいないカップル間の暴力には、DV防止法の適用はありませんが、例えば身体的な暴力であれば刑法上の傷害罪、暴行罪が成立しますし、つきまとい行為や相手の同意なくGPSで位置情報を取得する行為などはストーカー規制法違反となる可能性があります

3 健康的な関係性の構築にはコミュニケーションが重要

DV・デートDVの加害者となってしまうとき、その人は相手に自分の要求を伝える方法として暴力を選択しているといえます。デートDVの当事者、とりわけ加害者にならないためには、相手を尊重しつつ、自分の要求を伝えるコミュニケーションの方法を身につけることが効果的です。

4 DVかな?と思ったら一度相談してみよう

暴力を受けている場合、何よりもあなたの命や身体の安全を守ることが第一です。身の危険を感じたら、110番通報をしてください。

弁護士、お住まいの地域の配偶者暴力相談支援センターなど、暴力から逃れる方法を一緒に考えてくれる人たちがいます。

信頼できる友人や家族に話してみることで気持ちが楽になったり、DVだと気づくきっかけになることもあります。

5 LGBTQカップル間のDV

(1) LGBTQもDV当事者になっている!

日本ではセクシュアル・マイノリティ(以下省略して「セクマイ」といいます)を当事者とするDVに関する調査がほとんどなく、日本におけるセクマイカップル間のDVの実態は正確にはわからない状況です。

アメリカで3745人の中学1年生から高校3年生に対し行われた調査では、回答者のうち6%がLGBであり、18人がトランスジェンダーでしたが、シス異性愛の回答者と比べ、LGBTの回答者の方がデートDVを経験している割合が高いとの結果が出ています。母数の少ない調査ではありますが、セクマイであることとデートDV被害を経験することとの間には関係性がありそうです。

(2) 法律上同性のカップルに対するDV防止法の適用は?

同性カップルにDV防止法の保護命令の適用があるかどうかについては不明確でしたが、2023年の改正時の附帯決議において、国会が政府に要請することとして、「保護命令について同性カップルも対象となった例がある旨を周知徹底すること。併せて、通報の努力義務を含め、同性カップル間の暴力への対応にも遺漏なきを期すこと」が明記されました。

(3) DVかな?と思ったら相談してみよう

セクマイの場合、パートナーとの関係を相談するにあたりカミングアウトが必要になるため、なかなか相談しにくいということもありますよね。まず一歩目は、DV専門の窓口ではなく、LGBTQ向け相談窓口への相談でもよいと思います。相談がしやすいところに相談してみてください。coLLaboLINEでも相談が可能です。

言葉の説明

  1. DV防止法:正式名称は、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」。
    配偶者暴力の被害者は多くの場合女性であり、女性の地位向上の観点から、DVの防止と被害者保護を目的として2001年に制定され、数度の改正を経ています。フェミニストの私としては、前文がかなりアツい内容なので、興味があればぜひ読んでいただきたいと思います(法律全文)。
    ↩︎
  2. 保護命令:裁判所がDV加害者に対して,被害者などへの接近禁止等を命令するDV防止法上の制度。
    DV防止法上、保護命令は、「配偶者」に対して発令されるものとされていますが(同法10条)、「配偶者」の定義には、法律上の婚姻をした夫婦だけでなく、「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」も含まれる(同法1条3項)とされています。
    ↩︎
text:attorney-at-law Maiko Sato / photo:Emi Yasuda / みらいふ編集部
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