2024-12-27

【解説】カミングアウトしていないカップルこそ、公正証書を作成しよう!(弁護士執筆)

<この記事では>
同性カップルがよく耳にする公正証書ですが、3つの種類のものがあります。特に、パートナーシップ契約書を公正証書で作成することが、何かあった時に、法的な証拠として役立つという具体例をあげて紹介しています。同性どうしの結婚ができない現在、関係を法的に明確にしておくことが、特にカミングアウトをしていないカップルにとっては、お勧めであるということがわかります。

目次

1.カミングアウト・クローゼットとは

セクシュアルマイノリティの間で言われるカミングアウトとは、「自身の性的指向や性同一性を周囲に明かすこと」を指します。他方、「自身の性的指向や性同一性を周囲に明かしていない状態」をクローゼットといいます。日本においては、いまだ差別や偏見が存在することから、多くのクローゼットカップル(周囲に2人の関係性や性的指向等を公にしていないカップル)がいます。

また、周囲に一切公表していないというカップルもいれば、信頼できる友人らには伝え、親族らには伝えないというように、関係性によって明かすか明かさないかを分けているカップルも存在します。

2.公正証書とは

公正証書とは、公証人が、私人から依頼を受けて、作成する公文書のことです。公証人は公務員です。公正証書は契約書の中でも協力な証拠力を有している文書です。

同性カップルが作成する多くの公正証書は、①遺言書、②任意後見契約書、③パートナーシップ契約書の3つです。筆者は、クローゼットのカップルこそ、特にパートナーシップ契約書を、公正証書を用いて、作成しておくべきだと考えています(①・②は別記事で紹介します)。

3.パートナーシップ契約書を公正証書で作成するメリット

公正証書を作成するメリットは、何か生じた場合に公正証書で2人の関係を証明することができることです。単にカップル間でパートナーシップ契約書を作成するよりは、公正証書による作成の方が、公証人という第三者が介入するという点、公証人が作成時に双方に、契約内容を確認する点(このような契約書を作成して問題がないか?という確認が行われます)において、強力です。

例1)一方が急に入院した場合

「親族」のみ、面会ができると言われた場合、公正証書を示すことで2人がパートナーであることを証明することができる可能性があります(地方自治体のパートナーシップ証明書等でも代用は可能)。

例2)パートナーとの関係が終了する場合(慰謝料や財産分与)

関係が終了する原因によっては、パートナーに対して、慰謝料を請求することができます。もっとも、2人の関係が公正証書等で明確になっていない場合は、慰謝料請求が認められない可能性があります。

2人が築き上げた財産がある場合も同様に、2人の関係が公正証書等で明確になっていた方が、財産の分与が認められる可能性があります。

特に、女性同士のカップルは、男性同士のカップルよりも双方の収入が低い場合が多く(男女の賃金格差の問題)、2人で築き上げた財産が存在する場合には、正当に財産の分与を行わなければ、一方が貧困に陥ってしまう等の問題も生じます。

例3)一方が急に死去した場合

2人の関係を全く知らない親族から、葬儀等への参加を拒否された事例も現実に存在します。長年連れ添いながら、最後の別れに立ち会えないという悲劇は、亡くなったパートナーも望んでいなかったと思われます。そのようなときに、2人の関係を記した公正証書が存在すれば、防ぐことができるトラブルです。

このように、2人の関係を公的な書類になっている=公正証書でパートナーシップ契約をしておくことで、防ぐことができるトラブルがたくさん存在するのです。

4.お互いのために、公正証書を作成してみよう

同性婚が認められていない今、2人の関係を公的な書類で明確にしておくことこそ、パートナー及び自分自身を守ることに繋がります。自分のため、そしてパートナーのために、是非、公正証書作成の検討をしてみて下さい。

次回予告:「パートナーとの関係が終了する場合に慰謝料請求や財産分与が認められるのか」です。

text : attorney-at-law Saki HATTORI
よかったらシェアしてくださいね~
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次