2024-03-09

【カップル】まったりほのぼの長山さん&中才さん

プロフィール

左/長山さん(39歳、Q?or L、会社員、高知県出身)

右/中才さん(36歳、Q or L、会社員、兵庫県出身)

2017年~(2024年現在、7年目)

首都圏

パートナーシップ制度 あり(2020年、在住自治体の制度登録)
公正証書:なし 緊急連絡先カード:あり

2017年に恋活友活イベントで出会い、すぐにおつきあいを始めた長山さんと中才さん。まったりほのぼの、インドア派のカップルです。2020年11月には在住自治体パートナーシップ制度の第1号利用者となり、2021年に中古マンションを購入して同居を開始しました。交際当初から毎月、ふだんちょっと言いにくいことを話し合う「反省会」をしているとか!?

目次

【出会い】女性同士の恋活友活イベント

長山 結婚を考える年齢になり、周りがパートナーを「男性が入っている箱」から選んでいるのを見てそういうものだと思っていたけど、ピンとくる出会いがなくて……。もしかすると、自分のパートナーになる人はこの箱にはいないのかもしれない。こっちの「女性が入っている箱」から探してもいいんじゃない?と思ったことをきっかけに、L向けのSNSなどを利用するようになったんです。そして、2017年8月、新宿二丁目の鉄板女酒場どろぶねさんの恋活友活イベントで中才と出会いました。

中才 私はもうすぐ30歳、長山は33歳で、まずは友だちがほしいなと思い、参加しました。

長山 いや、私はときめきも求めていたよ(笑)。

中才 そりゃもちろん、あわよくばという思いはありましたね(笑)。二次会でCoCoLo café(新宿二丁目のカフェ。2021年閉店)に行って話して、1週間後にふたりで食事をして、帰りに長山から申し込まれて交際がスタートしました。

長山 ふたりで話してみて、相手を尊重することができる人だなと思ったことが決め手でした。

中才 私は年齢=パートナーいない歴だったので、これを逃したら一生独り身かもしれないと思って(笑)、お願いしますと答えました。長山は普段からここぞ!というときはフィーリングでバシッと決める人ですね。

長山 UFOキャッチャーみたいに釣り上げた/釣り上げられたねってよく話しています(笑)。

【おつきあい】片道2時間の中距離恋愛

中才 ふたりの仕事の休日が違っていたんです。それで、私が長山の家に2時間くらいかけて行くという週末婚のような状態が続きました。当初から、いわゆる「結婚を前提に」、真面目な話もたくさんしましたね。どんなに好きでもお互いがハッピーじゃなかったらお別れするのもいたしかたないよね、とか。

長山 中才は、たとえば旅行先でのプランを分刻みで立ててくれたり、災害への備えを考えてくれたり、私が苦手なところを自然にカバーしてくれるので安心なんです。人生を共にするパートナーだと思えたのは、価値観が一致して、自然体でいられることが大きかったですね。

中才 コロナで長時間一緒に過ごしてみて、特に気になる点とか、ちょっと無理かもというのが一切なかったんです。早く同居したいという思いが強まりました。

長山 独り暮らしが長かったので、パートナーと生活したいという気持ちがあって。

中才 私も好きな人とは一緒にいたいタイプ。職場の社宅制度が同性パートナーに対応していなかったので、交渉を始めたのですが、なかなかうまくいかず。しかも、ちょっと占いの話になっちゃうんですけど、2018年2月からの2年間がふたりとも天中殺で(笑)、結婚や大きな契約事はしない方がいい時期らしくて。

長山 その間、交際を続けながら様子をみることにしました。

【同居】天中殺が明けて、マンション購入

長山 2020年2月に天中殺が明け、11月に市のパートナーシップ制度が導入され、その年の暮れに予算通りの中古マンションが見つかって、トントン拍子で進みました。

中才 マンションは私の単独名義で買ったので、住宅ローンを組むのはスムーズでした。でも、もし私が急死したら長山が追い出されるのではないかという心配はあります。遺言を残しても、結婚している夫婦じゃないと相続税をたくさん取られるのがムカつく!と拗ねて、考えるのを棚上げしてしまっています。公正証書や遺言も作らないとねと話しているんですが、まだ作っていません。インターネット上で見られる「パートナーシップ契約」の模範例を見ても、当たり前の内容だし、わざわざお金をかけて作るのも何だかなあ、結婚できればそれで済むのにな……と。

長山 緊急連絡先カードはパープルハンズ発行のものに記入して、パートナーシップ制度のカードと共に持ち歩いています。

【生活スタイル】「反省会」で気持ちを伝え合う

中才 リフォームや同居してからの過ごし方については、ふたりで話し合って進めました。共用スペースとそれぞれの個室もあるような住まい方をしています。それまではお互い独り暮らしだったのですが、長山の方が料理をはじめ家事スキルが高いので、負担が大きいかもしれません。

長山 中才は洗濯担当というように、どちらが何をするかなんとなく決まっているものの、できる時にできる方がやる形で柔軟に対応しています。ふたりともできないときは、諦める(笑)。

中才 防災関係の準備は私が進めて、キッチン近くには消火器を、寝室にはLEDライトやヘルメット、避難用の靴を置くなど、万全の対策をとっています。

長山 わたしはひとつのことを突き詰めるタイプなので、最近は中才の好きなチーズケーキのレシピを試行錯誤したり、多肉植物を育てたりと、それぞれの得意や好きを活かした生活をしていますね。

中才 生理前とか、片方はイライラするタイプで、もう一方はすぐしょんぼりするタイプと、違うところもあるんですが、感情的にならないように話し合うようにしています。

長山 定期的に「反省会」をしてるんです。出会った記念日が8月4日なので、毎月4日は「反省会」と決めて、モヤモヤするけどふだん言えないことを伝え合ったり。

中才 別に重い感じではなくて、たとえばゴミ捨て後はゴミ袋をセットしておいてほしいとか、玄関の鍵を閉め忘れてるときがあるから気をつけてほしいとか、足音が気になるとか、小さなテーマが多いですね。

【将来】結婚したいから訴訟も応援

中才 衣食住と娯楽に困らず、ひっそり穏やかかつ堅実に生きていきたいです。必要に応じてコミュニティとつながれればと思うのですが、家の近くにL友やカップル友達はいませんね。SNSを見ていてもあまり見当たらず、自分たちのようにインドア派の人が多い地域なのかもしれません。

長山 65歳までは働くだろうなと思うので、健康寿命を長くしたいと、ふたりでジムに通い始めたり、食べ物にも気をつけたりしています。

中才 将来不安なのは、突然の死、病気、事故、老後に認知機能が低下したときのことなどですね。その対策として、貯金、自治体のパートナーシップ制度の利用、お互いの家族や親族への紹介などを行ってきました。

長山 将来、日本でも可能になったら、結婚したいとも思います。

中才 なので、「結婚の自由をすべての人に」訴訟の傍聴にもよく行って、応援しています。

おふたりからのメッセージ

長山 何でも、決めつけないことを大事にしています。セクシュアリティもそうだし、生き方もそう。たとえば、私は味噌汁にルッコラやトマトを入れるんですけど、あるきっかけでその食べ方をするようになるまではそれが美味しいなんて思いもしなかった。同じように、異性と生きるよりも同性と生きるほうが私にとって心地よいということを、中才と出会うまでは知りませんでした。選択してみないとわからないことってたくさんあると思うので、日々何を選びとるか決めつけすぎず、問い続ける姿勢を忘れないようにしたいです。

中才 物心ついた頃から親子関係が悪く、母とはいろんなことがあって、長山と出会うまでは恋人やパートナーがいたこともなかったので、「自分なんか」と思っていた時期が長くありました。今は、自分を幸せにすることが、パートナーとふたりで幸せに生きることにもつながっているように感じています。お互いに依存しすぎないよう、自分のことも相手のことも同じくらい大切にするのが重要なのかな、と。そのためにも、まずは心身の健康を第一に考えています。

text by Mami Hagiwara / photo by Emi Yasuda / interviewed by みらいふ編集部
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