2025-02-12

21年間の二人三脚、パートナーシップ制度導入に向けたアクションと次のステップ

プロフィール

右/光枝さん(48歳、パンセク→レズビアン→だけど特定したくない、美容師、東京都出身)
左/あきさん(44歳、ノンバイナリー、フリーランス、神奈川県出身)

パートナーシップ 2003年~(2025年現在、22年目)

住まい 東京都

利用制度 パートナーシップ制度 あり(2015年 世田谷区、2022年 東京都) 緊急連絡先カード:あり

2015年、パートナーシップ制度を全国でいち早く取り入れた世田谷区。これを実現するまでには、世田谷区議会議員の上川あやさんを中心に、同性カップルたちが声を上げ続けた努力がありました。
インタビューのなかで「当事者の存在を知ってもらうことが大事」と話す光枝さんの言葉はとても説得力があり、世田谷区から渋谷区、全国へとパートナーシップ制度が広まったことの例と重なるようにも感じました。社会の移り変わりとともに過ごしてきた21年間。2人がみてきた世界と、この先の未来について話を伺いました。

目次

2人で過ごす21年間の幕開け

ーお2人の馴れ初めについて教えてください。

光枝:まだお互いが20代の頃、新宿二丁目のAiSOTOPEというクラブで出会いました。たしか、DC(ダイアモンドカッターの略)というビアンイベントだったかな。そこから仲良くなり友だちとして会っていましたが、ある時飲みに誘ったんです。当時、私は20代後半で、あきは20代前半。その時にこんなにも純粋な子がいるんだと思いました。

ー付き合うまでは割とすぐでしたか?

光枝:2003年に付き合ったのですが、それまではしょっちゅう会っていて、友だちなのかずっと曖昧な関係が続いていました。男性とも付き合っていたので、レズビアンじゃないと付き合うのが恐いと言われていたので。あき は、元カノから結婚したいという理由で振られた経験があったので、嫌な思い出を引きずっていたのでしょう。

私は当時、男性も女性も恋愛対象ではありましたが、私は同じではない。新しい仕事を始めたばかりの時期でもあったので、結婚なんか考えられなかったし。だから「私なら大丈夫」と伝えていたのですが、それでも不安はあったようです。そんななかで交際を始めたので、まさか21年も一緒にいることになるとは……!

ー21年もお付き合いされてるとは。大先輩です。

光枝:何にもないですよ(笑)。なんとなく、あっという間に過ぎちゃった。

得意・不得意を補う関係性

ー付き合ってから同棲するまでの流れは?

光枝:テレビが壊れた時に同棲することを前提にあきがテレビを買ってくれました。ですが、一向に住む気配がなくて。「いつ同棲始めるんだろう?」と思いながら、5年半くらいが経過していましたね。結婚という選択肢がない私たちなので、漠然と不安はありました。

ちょうど更新の時期も近づいていたので「一緒に住まないなら、人生考え直してもいい?」と伝えたところ「一緒にいたい」と言ってくれて、同棲をスタートすることになったんです。半強制的に決めさせた感じにはなりましたけど(笑)

あき:私は神奈川県出身なのですが、実家が東京に引っ越しをすることになったんです。初めての新居ということもありとても居心地良くて……。住むような素振りを見せて待たせてしまいました。

ー同棲してから2人の関係性や向き合い方は変わりましたか?

光枝:あきと付き合ってからも私は1人暮らしが長くなってて、知らず知らず雑になってたんです。これまでは電気をつけっぱなしにしたり、コンセントを乱暴に抜いたりしても「自分がお金を払ってるしいいや」となってましたが、2人で暮らしてる分、そうはいかないですよね。あき は私よりもていねいなので、私がお家のことで注意されることは多いのですが、ごもっともだなと思います。

ー共同生活をするうえでの役割はありますか?

光枝:私は付き合うとき、料理は毎日できないことを伝えていました。なので、基本的にはあき が準備で私が片付け担当。スーパーでの買い出しや料理、洗濯はやってもらって、私は食器を洗ったり洗濯物を畳んだりしています。

パートナーシップ制度で足りないところは?

ー2015年からパートナーシップ制度を利用しているお2人ですが、実際に使ってみてメリットだと感じたことはありますか?

光枝:正直、あるのかな……とは思うけど。ただ、不動産の賃貸契約時や病院など、パートナーシップ証明書を提出する場面は何度かありました。私たちは証明書の裏面にお互いの緊急連絡先としてパートナーの連絡先を記載してます。必ず、財布に入れて常備していますね。

ー逆に足りないと感じる点はありますか?

光枝:世田谷区からいただいた証明書だと、緊急連絡先を書ける場所が備考欄しかありません。連絡先を書くだけでスペースがいっぱいになってしまうので、ぜひパートナーの連絡先が記載できるスペースを設けてほしい。ファミリーシップカードには緊急連絡先の欄が裏にあったので、今は変わったかもしれないですね。

あとは、2年前に東京都のパートナーシップ制度も利用したのですが、証明書は紙一枚でした。印刷してカード化もできますが、写真を撮ってスマホで保存してる人は埋もれてしまう可能性もあるので、カードとしていただけたらうれしいかな。

相手を思いやるからこその喧嘩

ー今後、どのような関係を構築していきたいと考えていますか?

光枝:喧嘩がほとんどないので、喧嘩した方がいいのかなと思う(笑)。思い出せる喧嘩も本当に些細なことです。最近はあきに謎の湿疹ができて病院に行ってくれないから、それで強く言ったくらい。あきが穏やかで優しいから、私もイライラしなくて済みます。

ー愛のある喧嘩ですね。

光枝:あきが優しくて穏やかなんです。実は私、30歳になる前にうつ病になったことがあって。かろうじて働いてはいたけど、体のあちこちに痛みがでたり、笑えなくなって人の目を見て話せなくなったり、仕事中に泣き出したりしていました。当時はまだあきと一緒に住んでいなかったので休日だけ会うのが日課でしたが、外に出ると人とかすべてに疲れてしまって。すぐに帰りたくなっても、何一つ文句を言わず私の家へ一緒に帰ってくれました。

さすがにこれ以上悪化するとダメになってしまうと思って仕事を辞め、数ヶ月間引きこもっていた時期もありました。その後、あきから「あのとき、どうしてあげたらいいかわからなかった。何かしてほしいことあった?」と聞かれましたが、「こうした方がいい」と言われてたらしんどかったかも。ただ寄り添ってくれて本当によかったです。本当に救われました。うまく笑うこともできないし暗いし、何もできない状態の中で、むしろそんな私とよく一緒にいてくれたなと感謝しています。

最終手段として養子縁組の選択肢も

ー将来について話すことはありますか?

光枝:熱く語ったことはありません。「私のことはすべて任せた!」と口では言いますが、書面には残していないのでちょっと不安があります。

あき:今と変わらず仲良くおだやかに過ごしていけたらと思います。

ー同性婚法制化についての考えをお伺いしたいです。

光枝:自分たちの関係性を知らせるために、公正証書や緊急連絡先カードを作ったりしているカップルさんたちは多くいますが、同性婚が認められたら1発でそういうことは必要なくなるのに……という悔しさがあります。

まだ同性婚が実現されることを待ちますが、最終手段は養子縁組かな。親子関係になると結婚できなくなってしまうので、生きている間の最終手段です。とりあえず、今は期待したいです。みんな頑張ってくれているから。

おふたりからのメッセージ

光枝:自分のペースで大丈夫だということを伝えたい。私たち、知らない間にときが過ぎていって、なんとかなっちゃったから。未来に不安を感じる人もいるかもしれませんが、自然の流れに身を任せることも一つの選択肢です。マイペースにできることをできる範囲でやればいいと思います。

あき:カミングアウトをするもしないもどちらが正解かはないと思います。理解者が家族か友だちかパートナーか、ひとりでもいてくれたら、それだけでも救われると思います。

text&interview:Honoka Yamasaki / photo:Emi Yasuda / みらいふ編集部
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