2024-04-10

【カップル】共に働き共に子育て中のまゆさん&yadiさん

目次

【住居購入】同居10年目でふたり(+α?)の家を購入

まゆ 30代前半で、父が亡くなって少しだけど遺産をもらったんです。それを放置していると無意味に使っちゃいそうだなぁ、と。頭金にして、何か大事な買い物をしようと思ったんです。それで、前置きもなくyadiに「家を買おうと思う、一緒に物件を見にいこう」って言いました。うちって常に、私がいきなり「やりたいこと」をぶち上げ、yadiに「どう思う?」って聞く。「いいんじゃない?」って言われたら進む。そういう関係性なんです。

yadi まあ、それはお父さんの遺産だったしねー。

まゆ 私が子どもを作りたいって言ったときもそうだよ(笑)。

yadi 確かに。「いいんじゃない?」って返事したかな。基本、私はあまり自分から「状況を変える」ということはやらなくて。淡々と変わらない毎日を送る人。一方、まゆちゃんは家の中のことも、あらゆることを「こう変えたらいいんじゃないか、ああすれば」って、いつも改革を考えてる。

まゆ でも、yadiは別にいつも流されてるっていうわけでもなくて。違和感があるときは言ってくれるから。yadiが「NO」って言うときは、だいたい従うって決めてます。yadiがそう言うならそれが正解だと思うから。

yadi 私がNOって言うことは少ないけどね(笑)。こだわりがないから。

まゆ 私は何ごとにもこだわりがある(笑)。家のことも、既製品の物件に気に入るものが見つかる気がしなくて。自分で内装を選べるマンションを見つけて、間取りからドアノブまで全部自分で決めました。

yadi ちょうどその頃、子どもが欲しいと考えて精子提供者探しも併行してたので、子ども部屋を作るか作らないか、ふたりですごい悩んだよね。料理は私がすることが多いから、キッチンの作業台の高さは私の身長に合わせてもらったりとか。それなりに主張したよ。

まゆ 造りたい家のイメージは、もともと近かったかも。ふたりとも個室はいらない性格なので、広いリビングにオープンキッチン。ぼっち気分を味わうためにハンモックチェアを設置して、バラバラの場所でもくつろげるようにして。今は子どもがいるので手狭だけど、巣立ったら、また住み心地よくしたいなぁ。

【妊活】40歳と49歳で「親」に

まゆ 誤解はしないでほしいんですけど、「子どもを作る前段階として家を買った」っていうわけではないんですよ! ときどき「結婚式をして、持ち家も持った、次は子作り!」みたいに、人生の段取りとして着実に実行しようって考えてる人も見かけるんだけど、私にはそういうのはないです。たまたま30代前半に、偶然いろんなタイミングが合ってしまった感じ。

yadi 家を造りながら同時進行で、精子提供者になってくれた友だちとも交流したり。あの頃のまゆちゃんは、仕事も忙しかったのに、すごくパワフルだったね。新居に引っ越したのとほぼ時期を前後して、妊活を始めたんだっけ。

まゆ そう、いろいろあって35歳からのスタートだった。妊活は丸3年かかって、出産したときには40歳でした。

yadi 私は9歳年上なので、49歳。50歳手前にして親になったのは、正直、体力的にかなりキツかったです。

【メンタルヘルス】産休と病気休業と

yadi しかも、子どもが2歳になる頃、私の父親が倒れてしまって、介護の必要が生じたんです。

まゆ 子どもも手がかかる時期で、私は産休から仕事復帰したあとで、成果を上げなきゃというプレッシャーの中で働いていて。そのぶん、yadiに負荷がかかって、気がついたら倒れてしまった。

yadi そう、いろんなことが重なって、ちょっともう無理って。家にいて、夕方暗くなってきても、明かりもつける気力がなくて、真っ暗な中に座りつづけてしまうような状態に……。

まゆ ありがたかったのは、職場の人たちがyadiの様子を見ていて「これはおかしいぞ」っていち早く気づいてくれたんですよ。

yadi 早い段階で同僚から病院に行くことをすすめられて、すぐに「うつ病」と診断されて。2013年秋から丸2年間、休職しました。正社員だったから休職できたけど、有期雇用だったら途中で切られてたと思う。今思うとラッキーだったな。

40代前半まで私、有期雇用だったんです。つきあってからも転職したり、しばらく無職になったり、ふらふらしてて。40歳過ぎて会社から正社員登用の話をもらって、まゆちゃんに「どうしようかな?」って聞いたんですよ。そしたらまゆちゃんがクワッと目を見開いて、「ローンも背負ってるし、子どもも欲しいんだから、正社員になれるっていうなら、なるの一択だろ!」って叱られた(笑)。でも、あのとき正社員になっておいて本当によかった。来年には定年になるけど、その後は嘱託スタッフとして働き続ける予定です。

まゆ 休職してる間も、うつなのに保育園への送り迎えとか、がんばってくれたよね。

yadi 仕事復帰は無理でも、家事ならできることもあったから。

まゆ ありがたかったー。私は仕事が大事な局面で、子どもは2歳、相方は休職中。これから自分がひとりで家族を養うのかと思ったら経済活動は止められないし。週末は相方を休ませるために、子どもを連れて水族館で丸1日過ごしたりして、時間をつぶしてました。体力的には自分もいっぱいいっぱいだったのに。しかも今振りかえると、あの頃、にじいろかぞくで、重要なイベントをいくつも企画してるんですよね。ちょっとどうかしてたな(笑)。

yadi 仕事が忙しいときほど、なぜかそれ以外の活動もがんばってしまうのがまゆちゃんだっていうのは、よく知ってるよ(笑)。これが結婚してる男女のカップルなら、私が育休を取って給付金をもらいながら子育てや家のことをやって、まゆちゃんがお勤めに集中する、っていうのもありえたんだろうけど。同性婚ができない以上、私が休んだところでまゆちゃんの扶養には入れないし、育児給付金ももらえない。育休も、当時はまだ社内規定的に取れなかった。その後、数年たって、同性パートナーにも適用されるように社則が変わりました。私は特例で育児短時間をもらったけど、育児給付金は法律に基づいて出す国の制度だから、もらうことができないんだよね。

【生活スタイル】家事分担とお財布事情

まゆ 今、ふたりともフルタイム勤めだけど、私のほうが勤務時間が長いこともあって、出費の割合は7:3くらいかな。料理は1:9で相方メイン、掃除は私がメインの7:3、洗濯は手が空いたほう。子どもがらみの出費や労働は、PTAとかのおつきあいも含めて、9:1くらいで私の担当ですね。財布は合算していなくて、収入差に合わせて負担しています。

yadi 私は、光熱費と食費と、普段の買い物とか。

まゆ 住んでる家は私名義で、私の万が一のときは子どもが相続するから、yadiさんを子どもの後見人に指定してあります。

yadi ただ、私が子どもに何か遺そうと思うと、現時点では贈与税がかかってしまう。私と子どもとの法的関係は何もないんです。まゆちゃんは法律上はシングルマザー。子どもを私の養子にするというのも考えたけど、日本は婚姻していないと共同親権が認められないので、私の養子にすると私の単独親権になってしまうんですよ。両方が子どもの親なんだから、ふたりで責任を持ちたいと思っているのに、今はそれができない……。

東京都のパートナーシップ宣誓をしたことで、実際のメリットは特にないけど、私たちふたりの名前に加えて、子どもの名前が書かれた書類を見たときには、感慨深かったですね。私と子どもの関係性を示す、今はそれだけが唯一の書類なんです。

まゆ 同性婚ができるようになったら、しますね。実は、子どもができる前は、もし同性婚制度ができても、したくないーーなんて言ってたけど。子どもを育てる上で、不便なことが多すぎるし、あと、25年も一緒に生活をしてきたのに、共有財産にならないなんて不自然だと思うし。これからの老後支えあって暮らしていくのにも不便だし、不安がいっぱいあるので。今では、早く同性婚できるようになればなぁと願っています。

【今後】続けていく秘訣

まゆ yadiさんには、ライフプランってものがないのよね……。

yadi ないね、いつも流されてるの(笑)。私たちがパートナーを解消するってことはもうないと思うけど、まだ人生は長いし。いつも、未来は未踏の世界だから。パートナーシップを続けていく秘訣?って、強いていえば「意志」じゃない?

まゆ うまいこと言うわね(笑)。

yadi 今だって、「いちばんうまくいってる」っていうわけじゃないけど、関係性を変化させながら25年……。ボタンの掛け違いがあったり、心の距離ができたり、危機があっても修復して、それでもお互いに一緒にいたいかどうか。もう、意志だけだと思う。

まゆ パートナーシップを続ける秘訣といえば、「変わること」かな……。20代で出会って、今50代。それぞれ病気もしたし、年をとってお互いにちょっとずつ偏屈になって、良くも悪くも変わってきた。それ以上に、私はいろいろ新しいことにチャレンジしたいほう。yadiはどちらかというと、毎日同じようなライフスタイルを続けたい人。なので「変わっていってくれ」っていうのはよく言ってきたかも。でも、ここ5年のyadiは、外国語の勉強してたり、かなり意識的にいろんなことに取り組もうとしてる気がする? 子どもが大きくなってきて「尊敬される親である」ってことを意識してるのかな?

yadi それと、ボケ防止(笑)。好奇心を持ち続けないとボケるから、好奇心を持ってみようという意志でやってます。

まゆ うう。そう考えると最近では、むしろ、私のほうが忙殺されてる感じで、ヤバいわね(笑)。わが子と相方に置いていかれないように、成長したいと思います。

おふたりからのメッセージ

まゆ 若い頃は「生涯、Lとして生きる」ってことだけ、達成できればいいと思っていました。自分の力でお金を稼いで、自分の好きな人と生きていくってだけでも、難しいことだと思っていたので。yadiとの暮らしで、このライフスタイルを続けていけそうだなって思った後は、そこに「子育て」を加えてみたくなった。子どもを授かることができて、今は、その子の成人が見えてきて……。10代の頃に夢見ていたことはだいたいかなったので、これからのテーマは「Lとしての老い」かな。自分だけじゃなく、友だちや周囲も含めて、老後を充実させることを目指していきたいです。同性婚ができないなかで、このパートナーシップをハッピーエンドにできるかということも継続課題ですね。

yadi たとえば、パートナーが「子ども欲しいんだけど」って言ったときに、その未来が想像できないLは多いと思うんです。「そんなことしてもいいの?」「本当に幸せになれるの?」って考えてる人が、こういうカップルもいるんだって知ってくれれば。でも、子育てについては、親になりたい人の性格とか、職業とか、親族や周りとの関係性、経済状態によっても、状況は違ってくるから「これが正解」なんてことはないですね。子どもの個性によっても違うし。だから、あくまでも実例のひとつとして「同性カップルのもとで、子どもが無事に育ってる」っていうことを知ってもらえたらと思います。今後は、産んでいないほうの親の立場で思うこと、感じることなども発信していければと思っています。

text by Mami Hagiwara / photo by Emi Yasuda / interviewed by みらいふ編集部
1 2
よかったらシェアしてくださいね~
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次