2025-05-28

「人生観を知るための質問」人生のパートナーを真剣に求めたからこそ出会えた2人

目次

【同居】積み重ねた時間の中で出会えた最愛の人

ようこ:2丁目のバーでのオフ会で出会い、年齢も近いし、かわいかったし、話も合いそうだから、まずは連絡先を交換して、毎週「ご飯食べよう」と会ってたんだよね。毎回会うたびに、きくみちゃんがかなり真剣な質問をしてくるんですよ。家族との関係とか、カムアウトしてるかとか。というのは、彼女はLGBTQ+のコミュニティに入って長いから、事情がよくわかっていた。私が最初につきあった人はものすごいクローゼットの人で、私もコミュニティに参加したことがなく、隠すくらいだったから、コミュニティのお作法もわからなかったので。

きくみ:私は、経済的に大変な時期を長く経験している。そういう社会状況で女性同性愛者として生きて行くのは大変。経済的、精神的困難から男性と結婚したという人を何人も知っている。そういう意味で「女同士で生きて行きたい」という覚悟のある人でなくては、関係を続けるのは難しいのを私は実感していた。だから、レズビアンのコミュニティも行ったことがない、とか、同性とつきあうのは初めてなど、レズビアンとしての経験のない人とはつきあわないと決めていました。

ようこ:私は、その前に1人つきあってたからギリセーフ。今後2人で暮らしていく時にどういう覚悟があるかとか、そんな質問を次々とされました。お互い39歳と38歳だったので、20代の時みたいにフィーリングが合うからとか、2人でいると楽しいからだけでつきあって、4、5年後にこの人は違う、そんな展開になりたくないときくみちゃんは思っていたみたい。だから、踏み込んで真剣な質問をしてくれたし、きちんと言葉にしてくれたから、そういう人はいいなと思ったんですよ。その問題は難しいから触れないで…ではなく、ま、最初からすべてオープンにできていたわけではないけれど、真剣に相手を探しているんだなという思いが伝わった。

きくみ:私は、それまでに何人かと暮らしてきたので、そのたびに「あ、こういう人とは自分は合わない」という経験が自分にあって。もちろん質問しても自己申告ではわからないこともあるけれど。でも価値感は少しずつ見えてくる。たとえば、その人の家に遊びに行けば、家の中をきれいにしていたい人かどうか、すぐにわかることとか。

親がよく仲人をしていたので、小さいときから結婚については色々聞かせられていた。男女がお見合いして、真剣に結婚を考えていたら、諸条件が合うことが重要と考える親に育てられたから。

ようこ:これから人生を共にしていく覚悟として、そういうことを調べる現実的な人かな、きくみちゃんは。とにかく一緒にいて、話していて楽しいから、3ヶ月間くらい毎週会っていましたね。

きくみ:お互いの家に行って「金曜の夜から泊まって、土曜、日曜まで一緒に過ごす」が、月曜の夜までになり、火曜までになって、少しずつ増えていって。

ようこ:私は就職で東京に来て12年くらいずっと1人暮らしだったんです。でも、週の半分は泊まっているなら、一緒に暮らしたほうがいいかという話になって。半年くらいで一緒に暮らすようになったんだっけ?

きくみ:正式には1年くらい。お泊りは頻繁にしていたけれど。私の方が賃貸契約で、ようこちゃんは持ち家だったから。私の方が引っ越しました。

ようこ:私は大学卒業してからひとり暮らしを始めて、誰かと暮らすのはそれが初めてだったので、結構不安でした。「週の半分もいるなら一緒じゃん」ときくみちゃんはかなり積極的でしたね。

きくみ:実は、リーマンショックで私が解雇され、次の仕事が簡単にみつからないとか、自分の賃貸マンションは隣人が騒がしいとかの理由もあって同居することになりました。

【カミングアウト】同居を機に親に伝えたカミングアウト

ようこ:出会ってしばらくして、自分は親にまだカムアウトしてなかったから、実家に戻った時、きくみちゃんを「友だちです」と紹介していた。その後、同居するようになり、2人のことを隠しておけないから、「実は自分はレズビアンで、前に紹介した友だちは恋人で、今は一緒に住んでいる」と親に話したかな。「あ、そうなんだ」くらいで終わったけれど、親はショックを押し隠していたのかもしれない。

うちの家族は感情をわっと出したり、たくさん話したりするタイプではないので、「あなたには、あなたの道があるのね」という感じでしたね。ただ、それからずっと、その話題に触れられたくないらしく、それは今も変わらない。もちろん2人でずっと一緒に暮らしていることも知っているけど、とにかく頑固というか意固地というか正面切っては話そうとしないですね。放って置いてはくれるから「私が幸せならいいと親は思っている」と自分を納得させるために解釈しているけれど、それ以上はよくわからないです。きくみちゃんの実家には、もう最初の夏には「一緒に行って」と連れて行かれた気がする。

きくみ:お盆とお正月。それまでの彼女も連れて帰っていた。父親は都会から人が来て話せるのが嬉しいと感じていたみたい。その当時、父親は既にリタイヤしていたので、社会や経済のことを話せる人が周りにいないから、そういう話ができるのがうれしい様子で、ようこちゃんのことを「お婿さん」目線で見ていることがわかる。

家の農作業を手伝うときに、ようこちゃんにはチェーンソーの使い方を教えるけど、「きくみは危ないから寄ってきちゃダメ」と父親が言っていた。ようこちゃんの仕事は建築業界で、男の中で仕事をしてきている感じ。ようこちゃんの話し方やスタイルが男の人にも慣れてる雰囲気だから、父親はようこちゃんだと違和感なく話せています。

ようこ:お父さんは政治、経済の話題が好きだからね。そういう話をする相手が身近にいないから、たまに行くと喜んでくれて「一緒に一杯飲もう」とあれこれ話すんです。

きくみ:両親は、他の恋人のときも、リスペクトのある対応をしてくれていたけれど。ようこちゃんのことを気に入り、よく受け止めてくれています。

【生活】お金のこと 生命保険と生活費

ようこ:お互いに死亡保険金受取人を相手にしているものがある。その理由は、保険は病気になった時にお金が必要なときもあるし、自分が亡くなった時に経済的に困る人のためにお金を残しておかなければいけないから、その守りたい人が誰と考えたら、パートナーになる。ある時期までは親だったけれど、生命保険会社によっては、特に外資系では、同性パートナーが死亡保険受取人なれるケースはかなり以前からあった。最近は日本の保険会社でもできますよね。

きくみ:私は、受取人をようこちゃんに変更する前は妹でした。

ようこ:生活費は、私の口座やクレジットカードから基本的に引き落とされ、きくみちゃんは自分の口座もクレジットカードも持っているけれど。家族会員のクレジットカードを使って、私の給与口座から引き出すことになっています。口座名義が私だから、口座の管理は私がするけれど、必要に応じて話し合いをしてます。最初に暮らし始めた頃は、カードも別だし、すべて別。でも食費や光熱費はお互いに出し合って、給与の格差もあるからそれに応じて負担していた。

きくみ:日経新聞にホームエコノミクスの記事が出ていて、家の中でお金が貯まらない理由は家計をそれぞれ別にしているから、1本化してクレジッドカードの1枚の明細ですべてわかるとお金が貯まると書いてあったので、それをきっかけに2人で検討して今の形になった。2人がそれぞれ、パソコンで明細書にアクセスはできるし、この引き落としは何だっけ?サブスクかな?とかダブルチェックしています。

【ライフプラン】終の住み処を求めて~実家のそばに転居

ようこ:2人共、家で一緒に過ごす時間を大切に考えています。くつろいで、楽しくご飯を一緒に食べて、お風呂に入ってゆっくり休む。引越しの度に色々工夫を重ねて、自分たちの快適な住み方を探ってきましたね。賃貸で住んでいた所は、周囲の騒音は少なくて環境は良かったんですが、いざ分譲を買おうと思ったら、地価が高くて諦めて。やっと手の届くエリアを見つけて引っ越したら、今度は転職が決まって遠くて通えなくなって、また引っ越してといった変遷がありました。

きくみ:今回の引っ越しは、最後のつもりで決めました。周囲には何もなくて、交通も不便な所ではあるのですが、家は広々していて2人が伸び伸びと楽しく暮らせている感じです。外に出れば遠くの山並みを眺めながらの散歩も楽しいです。新しい環境で一から生活を立ち上げるのはエネルギーが必要なので、まだ若い(?)50代の内に、と決断しました。

ようこ:選んだ場所は、きくみちゃんの親のこともあるし、お兄さん2人ともすごく仲良くさせてもらっているので心強いです。全く知らない土地に2人でのり込んでいくのはハードルが高いから、親戚のいるエリアにいた方が、何かと情報をもらえることもあって心強く感じています。

きくみ:今、実家の近くなったから90代になった親の介護にも、週3回は通ってます。

ようこ:それは良かったよね。車で1時間くらいかかるけれどね。

きくみ:大好きなホームパーティーを、この家でこれからも続けていきたいです。私たちには子供はいないので、年代を問わず色々な世代の人と広く交流して、友だちの輪を広げておくことが今後の人生にとって重要だと思っていて、この家が交流の場になって欲しいです。

おふたりからのメッセージ

きくみ:同性パートナーの遺族ケアにも関わっています。最愛の人を失う苦しみの中、法的つながりがなければ、面会、死亡確認、葬儀、納骨、住居など多くの問題に直面します。周囲に関係を伝えていない場合、人生最大の悲嘆を周囲に理解されず長く孤立し生きていくことになりかねない。だから信頼できる人達に関係を伝え、支え合える環境を整えることが重要。この現実を広く伝え、共に考えることが、私達にできる大切な活動ではないでしょうか。
また、私が一番気持ちを向けているのは、結婚の平等を実現する活動です。マリフォー(Marriage For All Japan)に関わっています。結婚の平等が実現すれば、婚姻制度にとどまらず、LGBTQ+に対する不平等な法律や制度の多くが解消され、「性的少数者とマジョリティが平等に扱われる社会」への大きな一歩となります。
法律で認められることは、「性的少数者も尊重されるべき存在である」という社会全体へのメッセージになり、制度や慣習の見直しを促します。意識改革が進み、差別や偏見の解消にもつながります。だからこそ、婚姻平等の法制化が最優先の課題だと考えます。

ようこ:私たちの綿帽子白無垢と色打掛姿の写真を、Marriage For All Japanの活動パンフレット用に提供しました。結婚の平等が実現し、私たちの関係が法律で認められることは、LGBTQ+に対する不平等な法律や制度が解消され、「性的少数者と多数派が平等に扱われる社会」への大きな一歩となります。そのために自分達も何か具体的にできることをしていこうと思っています。

text&interview:Ayumi Kojima / photo:Emi Yasuda / みらいふ編集部
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