プロフィール
右/みえ(40歳、レズビアン、建築CADオペレーター、福岡県出身)
左/かよ(40歳、レズビアン、歯科衛生士、福岡県出身)
パートナーシップ 2018年~(2024年現在、6年目)
住まい 福岡県福岡市中央区
利用制度 パートナーシップ制度:あり(2018年 福岡市、2022年 福岡県) 公正証書:あり(同性パートナーシップ契約、任意後見契約)
同世代だからこそ価値観が合う

ー2人の出会いのきっかけを教えてください。
みえ:もともとかよとは顔見知りで共通の友人も多かったんです。福岡のレズビアンコミュニティってとても狭いので、食事に行くような関係ではありませんでしたが、ビアンイベントで目にしたことはありました。
そして10年ほど前、たまたま友人を交えて3人で食事に行くことになったんです。ですが、その友人が急に来られなくなってしまって。「このままキャンセルするのももったいないよね」となり、結局かよと2人で会うことになりました。いまだにその友人の目論見かはわかりませんが、それが私たちの出会いのきっかけです。
ーそれから、どのように付き合うに至ったのでしょうか?
みえ:実は、私が一目惚れした部分もあるんですよね。当時、私たちは見た目がかなり派手でして(笑)外見だけ見ると少し軽い印象を持たれがちかもしれませんが、かよと実際に話してみるととても真面目な人だったんです。しっかりと仕事をして、しっかりと生活をしている。まさに私の理想のパートナー像でした。
それに、話していくうちにフィーリングが合うなと感じました。そこで、私からアタックして最終的に交際することになったのです。
かよ:結構がっつりアプローチしてたよね(笑)私もみえのアプローチに押されて、知り合って半年で付き合いました。
ー早いスピード感でお付き合いを始められたのには理由が?
みえ:同じ年の生まれなので、価値観が合うところも大きいですね。たとえば、私たちはカラオケが趣味なのですが、無理に気を遣う必要がなくてお互いに「これ知ってる!」とか、そういう感じで楽しめるのがいいんです。
それから、お酒が好きだったり、懐かしいものに共感できる部分もあったりして、そうした会話のなかで自然と共感できることが多い。何気ない会話でも、すっと入ってくるものがあるというか。
かよ:そうですね。私はそもそも付き合っていた方に同世代が多かったので、違和感なくお付き合いできました。
ー生活するうえで役割分担はありますか?
みえ:私たちの役割分担は特に決まっているわけではなく、できる方がやるという感じです。たとえば、料理は得意な方が作るし、家事全般も同じように、それぞれができることをやっています。なので、特に「これをやらなきゃ」という決まりはなくて、臨機応変にお互いがサポートし合っています。
私は定時で帰宅できるので、平日は仕事があまり忙しくない分、料理や洗濯、掃除などを主に担当しています。猫ちゃんのお世話も私がして、帰宅するまでそのあたりの家事をこなしている感じですね。休みの日は、もっとお互いに役割を分担して、協力し合うことが多いです。
違う人間同士、同じ屋根の下で過ごす
ーおふたりの生活スタイルについて教えてください。
みえ:私が建築CADオペレーターで、かよは歯科衛生士として働いています。職業柄、2人の休日が日曜日と祝日なので、基本的には週に一度、お互いの時間が合うという感じです。
かよ:1人の時間も大切にしたいタイプなので、ちょうどいいバランスが取れているなと思います。
ー同棲してすぐの生活はどうでしたか?
かよ:同棲して9年半が経ちますが、最初の頃はけっこう喧嘩が多かった。短期間で一緒に住み始めたから、知らないこともたくさんあったし、お互いに噛み合わないこともありました。
みえ:急に距離が縮まったので、衝突があるのは仕方ないだろうなと思っていました。私自身、その部分は覚悟していたし「ちゃんと向き合おう」とも決めていたので、あまり大きな問題ではなかったです。
かよ:私はフリーの期間が長かったので、仕方なかったかもしれないです。それに、一つひとつの喧嘩の内容はしょうもなかったよね(笑)
みえ:そうだね。家のインテリアとか、そういう小さなことが積もり積もって、大きな喧嘩につながることがよくありました。振り返ると、喧嘩するうちにだんだん論点がズレていっちゃうんですよね。喧嘩そのものは、話し合いで解決できるレベルのことが多かったので、なんとか乗り越えてきました。
ー9年半の同棲を経て変化はありましたか?
かよ:喧嘩の激しさは落ち着いたかな(笑)精神的にくるから、あまり喧嘩にならないようにしようと心がけるようになりました。
みえ:疲れちゃいますからね。
かよ:やっぱり、感情的にならないことが一番大事。文章だと誤解が生まれやすいですし、言葉のニュアンスも伝わりにくいので、面と向かって話し合います。そうやって話すなかでも、つい言わなくてもいいことまで言っちゃうこともありますけどね。
かよ:(付き合って)10年間という時間が本当に濃いなと感じます。でも、どんなにお互いの関係性が近くても、違う人間同士だし衝突は避けられない。それでも、長く一緒に生活していくには、忍耐や妥協が必要。お互いの違いを受け入れながら、うまく折り合いをつけていくというか。

同性婚先駆けとしてのパートナーシップ宣誓

ーパートナーシップ制度は利用されていますか?
かよ:2018年5月31日に福岡市、2022年4月7日に福岡県のパートナーシップを宣誓しました。
ー県のパートナーシップも利用したのには理由が?
みえ:同性婚の先駆けとしての意味があります。私自身、ずっと結婚したいという気持ちがありましたが、まずはせめてパートナーシップを結んで、福岡市に認めてもらいたいという強い思いがありました。
ただ、実際には証明書を取得した段階ではその内容がどんなものかはよくわかっていなくて。徐々に制度について知るなかで、法律的な効力や権利としては結婚と比べるとほとんど何も守られていないことを知りました。やっぱり、実際に体験してみて初めて、結婚との違いを目の当たりにすることになりますね。
ー利点と感じることはありましたか?
みえ:福岡市でパートナーシップ証明書を取得したことで、賃貸の申し込みで断られたところにこの証明書を提示することができました。証明書には福岡市からのメッセージが書かれていて、「この2人のパートナーシップを尊重することで、互いを人生のパートナーとして、福岡で生き生きと暮らし、活躍できることを期待しています」というような内容が記されています。
そして、「この証明書の提示を受けられた方は、この趣旨を十分に御理解くださいませ」と、強めの表現で書かれている部分もあり、市がこうした文章で正式に表明していることが、結果的に利点となったのかなと感じています。
ーパートナーシップを組んでからの関係性はどう変化していきましたか?
みえ:実はパートナーシップを組んだら、ちゃんと指輪を贈ってプロポーズしようと思っていました。思い切ってウェディングフォトも撮影して、それも一つの形にしたかったんです。このパートナーシップを結ぶということ自体、単なる手続きではなく、私たちにとってはとても重みのあるものではないかと思っています。
ープロポーズをしたときのお話も聞かせてください。
みえ:バレバレのシチュエーションね(笑)
かよ:夜景が見えるレストランに連れて行ってもらったのですが、指輪が入ったブランドの袋が丸見えだったんです。私はそれを見ないふりをしていました(笑)その後、デザートが運ばれてきて、その指輪の入った箱を開けてプロポーズしてもらいました。
みえ:私、サプライズが下手くそなんですよね(笑)ですが、一緒に住んでいるからこそプロポーズをして、身が引き締まった感じがします。
ー一緒に生きていくなかで、大事にしていることはありますか?
みえ:私たちは本当に、結婚しているような感覚なんです。友達から恋人、恋人からパートナーという段階に来ている感じがします。なので、もし同性婚が認められたら結婚したい。
私たちは一緒に生活していくなかで、言葉にはできないけれど、積み重ねてきたものがあると感じています。愛情もそのひとつで、最初はお互いに向き合いながら歩んでいたんですけど、今はもう同じ方向を見て歩いている感覚。最初は衝突も多かったけど、それを乗り越えて今は一緒に歩いていると実感しています。
あとは、共働きなのでお互い忙しいなかで、いかにすれ違わないようにするか、精神的な部分を大事にするかも重要だと思います。もし「これ、話し合えていないな」と思うことがあれば、必ず時間を作って話し合うようにしています。お金のことも大切ですが、心が離れてしまったら、どんなに経済力があっても意味がないと思うので。
同性婚法制化に向けたアクション
ーなるべく自分たちでできる範囲で対策していることはありますか?
みえ:具体的に進めていることとしては、公正証書を作成すること、そしてお互いの保険金の受け取りに関しても準備しています。今後は遺言書も作成したいと思っていて、来年中に完成させる予定です。
それから、お互いの会社にもパートナーのことを配偶者として認めていただいていて、緊急連絡先もお互いの連絡先を記載しています。関係性を完全に周知していくしかないなと感じています。
ーこれから先、どんな未来を描いていきたいですか?
かよ:今ある生活を維持して、健康で穏やかに暮らしたい。私たちは今年で40代に突入するので、健康面は特に気をつけたいですね。生涯一緒にいる人もできたし、猫ちゃんも飼っているので、1人の身体で生きているわけではありません。迷惑かけないように元気でいたいな、と思います。
みえ:のんびりとした生活を送りたいという気持ちはありつつ、やっぱり結婚したいという思いは強いですね。その点で、私たちも同性婚訴訟に協力させてもらい、25枚にわたる意見陳述書を提出しました。そうした取り組みを通じて、同じ志をもつ人たちと一緒に頑張っているという実感があります。それが、結婚したいという気持ちを支える原動力になっているのかもしれません。

おふたりからのメッセージ

みえ:私たちがしてきたことは、男女のカップルと変わりないことです。ただ、予期せぬ出来事に時間を費やしたり、理不尽に感じたりすることもありました。人生には楽しいこともあれば、つらいこともあります。だからこそ、人生は面白いのです。
困難を乗り越えているのは、LGBTQ+の人たちだけでなく、男女のカップルも同じです。毎日笑顔の人でも、つらいことを乗り越えながら頑張っています。もちろん、LGBTQ+だから感じる不利益や不公平もあるかもしれませんが、落ち込んでばかりでなく、いっそのこと前向きに考えた方が楽です。
今、最愛のパートナーと人生を共にしたいと思っている人がいれば、意見の食い違いや壁にぶつかった時は「話し合い」を大切にしてください。時に感情的になり、喧嘩もあるかもしれません。考え方が違うのは当たり前なので、お互いに歩み寄り、仲直りしたら自分たちにご褒美をあげてください。気付いたら笑顔になっています。
パートナーがいない方も、将来大切な人が現れるかもしれません。人生何があるかわからない。他人事ではなくジブンゴトです。最後に、同性婚が実現することを願っていますが、日々の不安に苛まれず、今を楽しんで生きたいと思っています。私たちにも幸せになる権利があります。今の幸せを大切にして、楽しい人生を送りましょう。
かよ:付き合っていくなかで色んなことに直面し喧嘩になることもあるかと思います。 ですが、内容の大小に関わらず、喧嘩は大事だと思っています。それは、お互いが言いたいことを言える環境が長く付き合ううえで大切だからです。どちらかが我慢したり諦めたりせず、お互い譲歩できるようになるのが1番だと感じているので、是非たくさん喧嘩してください。
本音で話して終わってしまう関係ならそれまでなのかなと。しっかり話し合い、お互いを尊重できる相手は長続きするはずです。 お互いの将来の為に歩み寄る行動をとってみると案外いい方向に進むかもしれません。 愛する人と一緒におばあちゃんになりましょう。



