2024-03-02

【カップル】公正証書でさらに理解を深めた加澤さん&まいこさん


プロフィール

左/加澤さん(48歳、 L、介護士、東京都出身)

右/まいこさん(48歳、L、看護師、東京都出身)

2007年~(2024年現在、18年目)

東京都小平市

パートナーシップ制度 なし 公正証書:あり 緊急連絡先カード:あり

コミュニティで出会い、いい友人関係から交際に至って18年目になるという加澤さんとまいこさん。当初から意見を伝え合うことを心がけ、ときには徹夜で議論を重ねてきたんだとか。オートバイを運転するふたりは事故や入院のリスクに備えて公正証書を作成、その過程でお互いへの理解がさらに深まったそうです。

目次

【出会い】親友から交際へ

加澤 初めて出会ったのはLOUD(東京・中野にあったセクシュアルマイノリティ女性のためのスペース。2021年4月末日にクローズ)でした。その後、ほかのコミュニティや共通の友人宅でも会うようになりました。

まいこ そうして機会を重ねるうちに、仲のいい友人から親友と呼べるような間柄になり、お互いに交際を希望して、現在に至ります。

【おつきあい】夜を徹して話し合い

まいこ 私たちは、交際初期からお互いの意見をできるだけ伝え合うことを意識しています。でも、そうするとエキサイティングな議論になってしまうことも多く、夜が明けるまで話し合うこともありました。

加澤 そうした繰り返しを重ねても一緒にいられるのは、お互いにとって相手が貴重な存在なんだと思います。

まいこ 最近は、互いのクセや性格の特徴などを把握し、尊重して話し合えるようになりました。

加澤 当時、カップルが別れに至るたいていの原因は、我慢をしたり、相手の気持ちを確認しなかったり、伝え合うことを諦めたりしてることだと感じていました。夜を徹して話し合うのはふたりにとってしんどい時間でしたが、そうする必要を強く感じていたのです。

まいこ 現在も引き続き、コミュニケーション不足や齟齬を見過ごさないように、というのがふたりの基本スタンスです。

【同居】前向きな言葉で同居を決意

まいこ お互いの家が離れていて、私が実家住まいで、経済的なこともあって、同居の話はつきあい始めた初期から出ていました。

加澤 ただ、私は過去につきあっていた人と同居して失敗した経験があったので、怖い気持ちもあったんです。でも、まいこの「大丈夫、なんとかなる」という前向きな姿勢に接して、同居を決意しました。

【生活スタイル】同居してみてわかったこと

加澤 私のほうが独り暮らし経験が長いので、「住まい」へのこだわりが圧倒的に強くて、基本的に私のやり方を尊重してもらってます。

まいこ 同居当初は、寝室も一緒で、全て同じ空間で過ごすという間取りでした。お互いに仕事で夜勤があることもあり、現在は仕事のスタイルや趣味など、自分の時間を大切にできるよう、寝室も分けてそれぞれ個室を持っています。

加澤 部屋を分けることには段階が必要でした。分けるか分けないかの気持ちに違いがあったため、意見のすり合わせなども行いました。まずはお試しから始めてみて、体調が整って来たことで、だんだん定着していった感じです。これらは同居してから分かった、必要な変化だったと思います。

【いざというとき】公正証書を作成した理由

加澤 私たちはふたりとも日常的にオートバイを運転しているので、事故や入院のリスクが高いという心配がありました。入院をしたときに「家族」として手続きや医療保険の請求などができるよう、「同性パートナーシップ合意契約公正証書」を作成しました。

まいこ その当時、私たちの住んでいた自治体には同性パートナーシップ制度はなく、2024年現在もありません。もし、何事もなく元気なまま年齢を重ねられても、どちらかが認知症になったときにどのように関われるだろう?という心配もありました。

加澤 福祉サービスなど社会資源を活用するにあたって、私たちは「他人」とみなされてしまうだろうから、事前に手を打っておく必要があるなぁと感じていたんです。そういうときのために、公正証書だけは作っておこう、と。

まいこ ライフプランに関してはふたりとも楽観的なほうで、「困ったらそのときになんとかして乗り越えよう」というスタンスです。そのための最低限の準備、という意味での公正証書です。

【将来】カップルとして生をまっとうしたい

まいこ 老後を迎える頃、現在の住まいに居続けるかどうかは未定です。レズビアンカップルとして生活していくことを考えると、現在の希望は、コミュニティと関われる圏内で暮らしていくことです。

加澤 私たちはこれまで、異性愛者の配偶者と同様の生活をしてきていると思っていますが、同性婚が実現したときに自分たちが利用するかについてはふたりの間で意見や考えがまだまとまっていません。女性ふたりのカップルが、カップルとして安心して生きていき、悔いなく生を全うして、生涯のパートナーとして死んでいきたいと思っています。

おふたりからのメッセージ

加澤 私たちは「公的に〝かぞく〟として認められている」シーンがないのです。法的に「配偶者」であれば認められる権利や責任が、同性間では想定されていない現状。けれど、それらをただ諦めて眺めている段階は過ぎました。私たちが変われば、社会は変わります。多様性を認めあえる社会になれば、もっと誰もが生きやすい世の中になります。私たちの生き方を肯定する社会とは、誰かの権利を侵害するものではありません。多様な幸せを祝福できる、成熟した社会を望みます。

まいこ お互いに何があっても、心配することなく暮らしていける制度ができたらと思っています。現状では法律婚が適用されないため、公正証書の作成や周囲の人たちへのカミングアウトなどを通して、私たちがパートナーであることを証明しています。このように法が適用されないカップルの過重な労力が少しでも減っていく未来になるといいなと願っています。

text by Mami Hagiwara / photo by Shino Kawachi / Retouching by Emi Yasuda / interviewed by みらいふ編集部

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